~欧米の黒歴史、仕掛けられた近代戦争の実態に迫る
(2022年4月3日投稿)
解説
ロシア・ウクライナ紛争のマスコミ報道は注意が必要
今、ロシアとウクライナとの間で世界中を巻き込もうとしている紛争が起きています。このロシア・ウクライナ紛争については、欧米メディアの報道が大半を占めており、ロシア側の報道がほとんど放映されていない状況となっています。
ただ、過去のメディア報道の姿勢を振り返って考えると、「一方的に片方が善であって、片方が悪」「片方が100%正義であって、片方が100%悪」という論調でマスコミが一色になったときは、大抵、裏にすり合わせや隠された意図がある場合がほとんどです。
例えば近年、起きた事例を紹介しますと、小保方晴子さんのスタッフ細胞報道があります。このとき、日本におけるマスコミの大半が「スタッフ細胞はまがい物だ」として批判しました。一部、わずか数名の言論人だけが「これはまがい物とは言えないのではないか」「スタッフ細胞は本物だ」と主張した人がいましたが、それはわずかに過ぎません。特に大手マスコミは揃って小保方晴子さんを批判しました。
では今、そのスタッフ細胞は一体どのような状況となっているのでしょうか。実は日本でスタッフ細胞の騒動が一段落してから、アメリカのハーバード大学のウィメンズホスピタルがスタッフ細胞の生成方法の世界特許に出願しています。
そしてさらに審査請求まで実施しました。最終的には、現時点(2022年)でこの特許はハーバード大学で取得できていない状況です。ただ、世界特許を出願し、審査請求まで実施されたということに極めて重要な意味が含まれているのです。
特許出願はたとえ内容が間違っていても、個人、法人問わず誰でも出願できます。重要な点は、審査請求まで実施したことにあります。この審査請求には実施例を具体的に記載する必要があります。この実施例の欄に確か十個ほど書く欄があったと思います。
実施例とは、「こういう実験をしたらこういう結果が得られた」という実際の事例、つまり正しい事例を書くことが決まっています。当然、この実施例は、「実際に実験を行って、このような結果が出た」という事実しか記載できないことになっています。
もし実施例に嘘が記載されていた場合、巨額の賠償金を支払うことになります。過去に事実と異なることを記載し、100億円規模の賠償を請求されたこともあります。なぜなら特許とは世界経済を大きく制限してしまうため、ものすごい被害が出てしまうわけです。
そのため賠償請求額も巨大なものになります。つまり、ハーバード大学が審査請求を行ったということは、「これは実際に正しい手法で実験を行い、正しい結果が得られた」ことを主張したことになります。
このようにハーバード大学が審査請求まで実施したということは、研究論文を発表することや特許申請することとは根本的に違うものです。
つまり、ハーバード大学がスタッフ細胞を審査請求まで実施したことは、「スタッフ細胞の研究に成功し、正しい実験を行い、スタッフ細胞は存在することを証明しました。だからこの権利を認めてください」とハーバード大学が踏み込んだことになります。
実はこのスタッフ細胞は経済効果が数兆円あると試算する人もいるくらいです。現時点(2022年)では、スタッフ細胞の審査請求は拒否され、特許は取得できていませんが、おそらくハーバード大学は引き続き、スタッフ細胞の再申請を行うことも十分にあると考えています。
日本のマスコミは、スタッフ細胞がハーバード大学で審査請求が行われたことを国民に知らせていません。大半のマスコミは、年間数兆円規模の国益を逃したことに対しての責任を取りたくない理由もあるのでしょうが、一部の人の意見として、「日本のスタッフ細胞騒動はアメリカが仕組んだのではないか」と主張する人もいます。
ただこれが事実なのか、陰謀論なのかについては、私にはわかりかねます。ただ、今回のスタッフ細胞報道のように、大半のマスコミが束になって、特定の個人あるいは組織や国を批判してきた場合は注意が必要です。この場合、マスコミが裏ですり合わせを行っていたり、本当の目的を隠したりする目的があります。
その結果、間違った報道をし、国民の利益を著しく損なうことが起きてしまうのです。
世界を分断しているのはトランプでなく、バイデン大統領
前置きが長くなりましたが、この事例とよく似ていることが今回のロシア・ウクライナ紛争についての報道です。日本の大半のマスコミは「ウクライナは正義、ロシアは悪」の報道で一緒くたになっていますが、これにも大きな誤りがあります。この報道を続ける限り、近い将来、日本は、スタッフ細胞以上に巨額の国益を失うことになるでしょう。
そもそもトランプ前大統領とロシアとの関係はどうだったかと説明すると、「ロシアは敵ではなく味方」でありました。トランプとプーチンの関係は非常によく、トランプはロシアとの関係改善を主張して、大統領になったわけです。
しかしバイデンが大統領に就任した後、ロシアはアメリカの敵として位置づけられるようになりました。またバイデンが大統領に就任以降、ミャンマーそしてアフガンで次々と軍事政権が誕生しています。そして香港弾圧も一層激しさを増すことになりました。
アフガニスタンについては、もともと2021年の8月にアメリカ軍を撤収させることをトランプが決めていたわけです。そのためバイデンは、アフガニスタンから米軍を撤収させたことに対して、「これは前政権のトランプが決めたことだ」と責任逃れをしました。その結果、バイデンは、マスコミから猛批判を受けることになりました。
しかしトランプ前大統領は、アフガニスタンから米軍を撤退した一つ目の理由として、アフガニスタンに滞在していた戦力を中国対策、つまり南シナ海、東シナ海に集中配備する狙いがありました。
二つ目の理由は、後ほど、詳しく説明しますが、アフガニスタンに大量に流れ込んでいた巨額の戦争利権を排除する狙いもあったと言われています。これらの二つの理由から、トランプはアフガニスタンからの米軍撤退を決定したのです。
ただトランプは、敵側の人から見れば予測不可能、つまり何をするかわからない人として見られていました。例えば、米軍が撤収した後で、タリバンが軍事クーデターを起こしても、トランプが即座に米軍を戻し、軍事クーデターを徹底的に潰しにかかる可能性が十分にあるわけです。
しかしバイデンの場合は予測できます。タリバンは、ミャンマーの軍事クーデター成功の様子を見て、バイデンは何も動かないと予測できたわけです。そこでタリバンは軍事クーデターを実行して、見事に成功したわけであります。このように世界では、バイデン政権が誕生以降、軍事政権が次々と誕生していく流れが起きているのです。
トランプは世界中から分断主義者とよく言われていましたが、トランプ大統領が退陣してバイデン大統領が就任して以降、実際に世界を分断しているのはどちらでしょうか。ロシアが敵となり、ミャンマー、アフガンで次々と軍事政権が誕生しました。香港弾圧もさらに激しくなり、香港市民だけでなく、台湾の人たちもトランプが退陣することを聞いて、戦々恐々としているわけです。このように現実を見る限り、むしろ世界を分断しているのはバイデンの方になります。
今、バイデンは同時に二つの世界大戦を仕掛けようとしている
また、今、世界を見渡すと世界中でコロナが大問題となっております。コロナについては、前節にも中国の生物兵器による世界大戦が仕掛けられていることに触れましたが、実は中国が生物兵器、つまりコロナを意図的に世界中にばらまいているのではないかと、疑念が持たれはじめています。
しかし中国にそれを問うには、アメリカが先頭に立って動かないとどうにもなりません。たとえ確実な証拠が掴めたとしても、これまでの事例のとおり、バイデン大統領では何も動かないことは、ほぼ間違いのないことと私は思っています。まさにアメリカが動かなければ、他の国もそれを言い出せない状況でありますが、世界の一部の人たちはこの事実を知りはじめています。
アメリカは今、中国の生物兵器による世界大戦を仕掛けられている状況の中で、ロシアに対しても戦争を仕掛けているわけであります。まさにバイデンは二つの世界大戦を同時に仕掛けていることになります。
ロシア系住民の弾圧から守るため、プーチンは軍事介入した
ここでロシアがウクライナに侵攻した経緯を簡潔に説明しましょう。まず一つ目として、ウクライナ東部に住むロシア系住民がウクライナ政府から人権弾圧や人権侵害を受けており、ゼレンスキー政権が誕生した後、さらに人権弾圧がひどくなり、祖国のロシアに助けを求めていたことがあげられます。
実はロシア系住民への弾圧は2022年に始まったわけではなく、もっと前から行われています。ロシア系住民への虐殺が世界で知られるようになったのは、2014年の5月に起きたオデッサの惨劇です。このときにロシア系住民がウクライナのアゾフ大隊によって、ビルに閉じ込められ、48人が虐殺されました(今ではネット上でさえもオデッサの虐殺事件が消されていますが)。
ここでロシア系住民の弾圧や人権侵害がいつから起きたのか、もう少し詳しく説明します。過去にウクライナにおいて親EU派の政権が誕生したことは何度かありましたが、少なくとも2013年まではロシア系住民への本格的な弾圧が起きたことはなく、ロシア系住民が祖国のロシアに助けを求めるような弾圧は起きていませんでした。
ただ2014年に親露派のヤヌコビッチ大統領が退陣して、親EU派のポロシェンコ大統領が誕生した後に、ロシア系住民への弾圧が本格的に始まりました。そして、弾圧があまりにも激しくなったため、特にロシア系住民の多いクリミアやウクライナ東部の地域で、ロシアに編入したいという要望が出てきたのです。
そこで2014年の3月16日、クリミアで「ロシア編入に賛成か反対か」で住民投票を行い、その結果、「ロシア編入に賛成が90%以上」という高い支持を得たのです。

この投票の結果は多くのマスコミで報道されており、「ロシア編入に賛成が96.77%」となっています。これがクリミア自治共和国における投票結果です。中には「投票そのものをボイコットした人がいたからこのような結果になった」と言われる人もいますが、それは事実でしょう。
ただ当時のクリミア自治共和国には、70%以上のロシア系住民が住んでいたため、いずれにしても「ロシア編入に賛成」が過半数を獲得することは間違いないことと言われていました。
このようにクリミアのロシア編入については、圧倒的大多数の住民の賛成投票があったのです。この投票結果を確認した後、プーチン大統領はクリミア編入を承認したというのが真相です。ただこのような背景については、ほとんど報道に流れていません。
プーチンがクリミア編入を実行したことに対して欧米諸国は、「これはプーチンによるウクライナ侵略だ! 編入を許さない」と批判することになりました。
プーチンには、ロシアに助けを求めてきたロシア系住民を何としても護りたいという気持ちが当然あったわけです。そこでプーチンはクリミア編入を実行することになります。そしてこの頃から、プーチンは本格的に世界中から侵略者扱いされるようになります。
プーチンは、キリスト教国の黒歴史を熟知している
ウクライナ東部に住んでいるロシア系住民がウクライナからの人権弾圧に対し、プーチンに助けを求めてきたことを解説しましたが、プーチンがウクライナに侵攻した理由は他にもあると私は考えています。
ご存知の人もいると思いますが、プーチンは哲学的な考えができる人であり、宗教はもちろん思想・哲学をよく勉強しています。それはプーチンの演説を聞くとよくわかります。プーチンの演説には聖書や哲学・思想的な話がよく出てくることから、プーチンは哲学的な考えができる人と言われる理由でもありますが、さらにプーチンはキリスト教国の黒歴史を熟知しています。
プーチンは湾岸戦争やイラク戦争、アラブの春において欧米国家が仕掛けた近代戦争の真相はもちろん、十字軍などに見られるイスラム国家との衝突、そして第二次世界大戦前にアフリカや東南アジアを植民地支配した欧米国家の歴史を熟知しています。
そして現在も経済支配という形を変えて、欧米国家がアフリカ諸国のエネルギー資源を搾取していることもよく理解しています。
実は、イラク戦争やアラブの春などで仕掛けられた民主化運動により、イスラム諸国の国民は以前より貧しくなり、治安が悪化しているという現実があります。イラクのフセイン、リビアのカダフィにせよ、確かに独裁政権的な要素がありましたが、石油で得られた利益は国民にしっかり還元していました。そのためフセインもカダフィも国民から支持されていたのです。しかしイラク戦争やアラブの春以降、石油利権を欧米国家が得ることになった結果、地元の国民に還元されなくなったため、国民が貧しくなったわけです。
実はロシアにおいても、過去に同じようなことが起きる寸前でした。ソ連崩壊直後のエリツィン大統領のとき、ロシアはソ連崩壊の影響で国家破産寸前まで追い込まれました。その混乱に乗じて、「ロシアの立て直し」と称して外国資本が民営化した石油メジャーを買い取り、ロシアの巨大なエネルギー利権を得ようとしていたのです。
しかしプーチンがロシアの新大統領に就任すると、「なぜ、我が祖国の利益を外国に分け与えなくてはならないのか」と憤慨し、外国企業を締め出し、エネルギー産業を再び国有化しました。その後、ロシア経済はプーチン主導のもと、奇跡の復活を成し遂げていきますが、もちろんロシアの巨大なエネルギー利権を逃した人たちはプーチンに対して敵意を持つようになりました。
プーチンはこうした欧米国家の手口、つまり闇の部分をよく熟知していたわけです。
国家存亡の危機に追い込まれていたのはロシア
それからロシアがウクライナへ侵攻したもう一つの理由としてあげられるのは、国家存続の危機はウクライナではなくむしろロシアの方でした。ロシアがウクライナに侵攻する前、ロシアがどのような状況に追い込まれていたかと言えば、第二次世界大戦前の日本とよく似た状況と言えます。
第二次世界大戦いわゆる大東亜戦争において、日本はABCD包囲網により、海外からの資源やエネルギーの輸出が禁止されることになります。ABCD包囲網のAとはアメリカ(AMERICA)、Bはイギリス(BRIRISH)、Cは中華民国(CHINA)、Dはオランダ(DUTCH)になります。これらの国々が日本への資源とエネルギーの輸出禁止を行うことになります。
日本は資源小国です。もし資源やエネルギーが入らなくなった場合は、マッカーサーの証言にもあるとおり、「日本は一千万人から一千二百万人の失業者が出る」と言われていました。そしてアフリカや東南アジア、中国においては欧米国家に次々と植民地化されていました。
もし日本に資源やエネルギーが入らなくなれば経済活動が止まってしまうわけです。さらに軍備増強が止まるだけでなく、すでに保有している日本の戦闘機や軍艦も動かせなくなり、ただの鉄くずと化してしまいます。そうなると日本は戦わずして欧米国家に植民地化されてしまうことは、誰の目から見ても明らかでした。
つまりABCD包囲網とは、欧米諸国が協力して日本を干上がらせる作戦だったのです。そして欧米諸国がABCD包囲網を築いた後に、あの有名なハルノートによる最後通牒を行ったのです。
ところで、このハルノートとはどのような内容のものでしょうか。ハルノートでは、「中国、インドシアからの即時撤退」「蒋介石政権以外の如何なる政府・政権を支持しないこと」「日本の日独伊三国同盟からの離脱」などが記載されていました。
もしこれと同じ内容のものをアメリカに突きつけたとしたらどのような内容になるでしょうか。
「アメリカはあんなにたくさんの国土を持っちゃいかん。建国当時のわずか13州の小さな国に戻り、それ以外の大半の州は手放しなさい。それからイギリスやフランスとは今後一切取引するな」という内容になります。
このような無茶苦茶な条件をアメリカが飲むはずはないのは明らかです。現に極東軍事裁判の判事として有名なパール判事がハルノートを読んだとき、「こんな通告が出されたら、小国であるルクセンブルクやモナコであっても武器をとって、アメリカに宣戦布告するだろう」と主張したわけであり、まさに日本にとっては国家存亡がかかった最後通称だったのです。そこで日本は祖国を護るためにやむを得ず戦争を開始したのです。
現在、「第二次世界大戦は、日本が仕掛けた戦争だ」と教えられていますが、このような欧米のやり方を客観的に見る限り、これは明らかに欧米が先に仕掛けた戦争であるわけです。実はこれと同じような作戦で、NATOあるいはアメリカのグローバル資本全体主義者(※注1 本著者の命名)がロシアに対して戦争を仕掛けたというのが真相であります。
プーチン失脚作戦は2014年からはじまっていた
ところでグローバル資本全体主義者による、「プーチン失脚作戦」が本格的に開始されたのは、今回のロシア・ウクライナ紛争ではありません。それは、2014年2月にウクライナで起きたマイダン革命にあります。このマイダン革命で、アメリカのグローバル資本全体主義者たちが考えたシナリオは次のとおりです。
「新ロシア派のヤヌコビッチ大統領を追放し、親欧米派の大統領を誕生させる。さらにこの紛争にロシアを巻き込ませ、プーチンを引きずり落とす」
このシナリオどおり、実際に2014年2月中旬、首都キエフにおいて新欧米派による大規模な反政府デモが起きて、多数の死傷者が出ました。
この抗議運動の激化により、ヤヌコビッチ大統領は大統領任期中にもかかわらず、2月22日、ロシアに亡命し、まさにグローバル資本全体主義者が描いた筋書きが実現したのです。多くの人は「こんな陰謀めいたことがあるはずはない」と思うでしょうが、これはすでに公開情報として証拠があがっているのです。
例をあげると2月22日、ヤヌコビッチ大統領が首都キエフを脱出した同日、新EU派の暫定政権が発足し、暫定政権の首相にヤツェニュクが就任しました。しかしヤツェニュクの首相就任は、ヤヌコビッチがキエフを脱出する以前、つまり2月4日の時点ですでに、ある人物たちによって予測されていました。
ではなぜ2月4日の時点で、ウクライナで大規模デモが起きて、ヤヌコビッチが国外逃亡することを予測できたでしょうか。ウクライナで2万人の大規模デモがはじまったのは2月18日です。そして非常事態宣言が発令されたのが2月19日になります。
つまり、2月4日の時点で、ウクライナ国内で大規模デモが起き、ヤヌコビッチが退陣することを予言できたことになりますが、これは予言でもなんでもなく、大規模デモを計画して扇動し、国内を混乱させ、ヤヌコビッチを国外逃亡させるというシナリオを描いていたからに他なりません。
ではウクライナで混乱を起こした人物とはいったい誰でしょうか。その人物はウクライナ国籍の人ではなく、アメリカの国務次官補ヌーランドと駐ウクライナ米大使のパイアットでした。
何とウクライナ国籍を持たないアメリカ国籍の人たちがウクライナ暫定政権の人事に関与していたことが明らかになったのです。実は、二人の秘密の会話は盗聴され、ユーチューブなどのメディアに漏れたことから発覚しました。
これは、ロシアの情報部が盗聴したと噂されていますが、私もそうとおりと思います。そして二人の秘密の会話は多くのマスコミで取り上げられ、日本では産経新聞が取り上げていました。
ただ残念なことに日本のマスコミが大きく取り上げた内容は、「二人がなぜウクライナの人事を決めているのか」ということではなく、ヌーランドの「くそったれ!」発言でした。
ヌーランドは、腰の定まらないEUに対して「くそったれ!」と罵ったシーンは日本でも話題になり、さすがにヌーランド国務次官補はEU諸国に謝罪しました。しかしこの二人の会話にはもっと重要な対話、すなわちヤヌコビッチ大統領追放後のウクライナ政府の人事について語っている内容が含まれていたのです。
ヌーランドは電話での会談で、「次のウクライナ政府の首相として最適なのはヤツェニュクだ!」と明言していたのです。そして会談で決めた内容のとおり、ヤヌコビッチが国外へ逃走した後の2014年2月27日、暫定政権の首相にヤツェニュクが決定しました。
先ほども説明しましたが、ヌーランドはアメリカの国務次官補であり、電話の相手は駐ウクライナ米大使のパイアットで、二人ともアメリカ人です。さらにヌーランドの夫は、新保守主義の代表的論者として有名なロバート・ケーガンです。つまりヌーランドは新保守主義と深い繋がりのある人物と言えるのです。
このようにウクライナ政府の人事にアメリカの新保守主義者が深く関与していたことは陰謀論でもなく、公開情報として証拠が残っているのです。
ナイラ証言という虚偽報道からはじまった湾岸戦争
プーチンはキリスト教国の黒歴史、すなわち欧米が仕掛けた戦争の真実を熟知していますが、世界史をある程度知っている人ならご存知のとおり、キリスト教国は歴史上、よく戦争を起こす国です。有名なのが十字軍で、約200年間、イスラム教国との間で戦いが続きました。
湾岸戦争やイラク戦争における実際の戦争は数ヶ月で終わりましたが、それでも当時、世界中の人々を震撼させた戦争となりました。しかし十字軍による戦争は200年、続きました。その200年の間、たくさんの死傷者が出たわけです。
さらに19世紀から20世紀初頭にかけて欧米諸国は、アフリカ全土や東南アジアを次々と植民地にし、現地の人々を奴隷扱いしたわけです。1860年代のアメリカにおいて、リンカーンは奴隷制度を廃止するため、南北戦争で勝利し、国内では奴隷制が廃止となりましたが、1900年代になり、次にアメリカは他国を次々と植民地化していきました。
それから1991年、湾岸戦争が起きました。実はこの湾岸戦争がはじまるきっかけとなったのが「ナイラ証言」です。ナイラという少女は、湾岸戦争開戦前の演説で有名になった人です。
当初、アメリカ国民の大半は「反戦」でした。「なんでわざわざ中東まで行って、アメリカが戦わなくてはならないのか」「アメリカ兵がたくさん死んじゃうじゃないの」というように、アメリカ国民は、中東へ米軍が介入することに反対だったのです。
しかし突如、クウェートに住んでいたナイラという少女がアメリカ議会に現れます。ナイラは議会において、「イラク兵が残虐です」「イラク兵は本当に人でなしです」「多くの人が死んで、赤ん坊まで殺されているんです」と発言しました。この発言でアメリカ国民の世論が沸騰し、反戦から主戦論、つまり戦争賛成へと国民世論がひっくり返ったのです。
しかし後になって、このナイラ証言は「虚偽」であることが明らかになりました。ナイラという少女はイラクがクウェートに侵攻したとき、実はクウェートにいなかったことが判明しました。イラク侵攻時にクウェートにいなかったにもかかわらず、「イラク兵による残虐の現場を見た」と証言したわけです。
さらにナイラは駐米クウェート大使の娘であり、クウェートに住んだことが一度もなかったことも明らかになります。皆様もネットでぜひ「ナイラ証言」というワードで調べてください。「ナイラ証言」は嘘であったというのは、公然の事実であることが確認できるでしょう。
アフガン戦争後、米軍がアフガニスタンに20年も滞在した米軍
それから2001年、アメリカと中心とする多国籍軍とアフガニスタンとの間で戦争が起きました。このときも実際の戦争は3ヶ月ほどで決着がつき、多国籍軍の勝利となりましたが、戦争終了後もアメリカ軍は2001年から2021年までの20年間、アフガニスタンに滞在し続けました。
多くの人は、「アフガニスタンに20年もアメリカ軍が滞在する必要があるのか」と疑問に思うでしょうが、実はこの20年間、アフガニスタン復興で国家予算248兆円も費やしています。
アフガニスタンという国はGDPの規模からすれば世界の中でも小さな国であり、世界最貧国の一つとして知られています。果たして248兆円の復興予算、1年で換算すると12兆円の予算が本当に必要だったのでしょうか。
そして20年経過した後もアフガニスタンの復興は進んでいるとは言えず、国民の生活は相変わらず貧しいままです。アフガニスタンの復興予算は結局どのように使われていたのかは不明ですが、少なくともアメリカ軍産共同体への巨大な利権が発生していたわけです。
そして2021年の8月末にアメリカ軍が撤収を開始した直後、アフガニスタンで軍事クーデターが起き、2001年に敗北して崩壊したはずのタリバンが再び政権を奪取してしまったのです。さらにアメリカ軍は10兆円規模のアメリカ製の兵器までタリバンにそのまま乗っ取られてしまうことになります。
しかし軍事クーデター後、バイデン大統領はアメリカ軍を再度、アフガニスタンに派遣することなく、10兆円のアメリカの兵器はそのままタリバンの手に渡ってしまいました。ではなぜバイデンはアフガニスタンに軍事介入せず、10兆円の兵器を取り戻そうとしなかったのでしょうか。
このことについては、「わざとアフガニスタンに火種を落として、再び紛争を起こし、軍需産業が儲かるようにしているからだ」という意見もあります。
アメリカの軍産複合体は、世界で戦争あるいは紛争が起きないと武器が消費できなくなり、利益を得ることができません。戦争・紛争が起きると、一気に巨大な利益を上げられるので、10年に1回は世界のどこかで戦争を起こすように仕掛けているのではないかという陰謀説のような話さえあります。
この真相については、事実かどうか定かではありませんが、現実を直視すると、確かにそのように思える行動が伺えるのも事実です。
イラク戦争の大義名分となった大量破壊兵器は見つからなかった
例えば、2003年に起きたイラク戦争において、「この戦争に大義名分はあるのか」ということは、ヨーロッパ諸国からも厳しく問われていました。イラク戦争の大義名分については、当時のブッシュ大統領は、「アルカイダの背後にフセインが国をあげてバックアップしている。
これではいつまでたってもテロ攻撃が終わらない」というのが一つ目の大義名分としてあげられていました。さらにもう一つの大義名分が「イラクに生物化学兵器、いわゆる大量破壊兵器がある」ということです。
この二つが「アメリカ・イギリスがイラクに戦争を仕掛ける大義名分だ」と主張していたわけでしたが、結局、戦争が終わった後、イラクがアルカイダに資金援助していた証拠も大量破壊兵器も見つかりませんでした。
そしてイラクの話題が忘れ去られようとしていた2008年、米国国防省は「フセインとアルカイダは無関係だった。大量破壊兵器は存在しなかった」とする報告書をまとめました。つまりこれは、米軍当局がブッシュ政権のイラク戦争の開戦理由は間違いであったことを発表したことになります。
しかしこのイラク戦争において、イラクの巨大な石油利権がアメリカの石油資本の手に入ることになりました。つまりブッシュ政権における、イラク戦争の真の狙いは、「イラクの巨大な石油利権を手に入れること」にあったことは言うまでもないことでしょう。
このように、欧米諸国の間違った戦争を例にあげましたが、もちろん欧米が全て間違ったことをしているわけではなく、世界の警察官として正しい判断をすることもありますし、プーチンはそれをよく理解しています。
プーチンはトランプ政権と親しかったことからもわかるように、アメリカそのものを敵対視していたわけではなく、アメリカと協調して国を運営していこうと考えていたのです。
ロシア建国時、欧米の石油メジャーから祖国を守ってきたプーチン
それから、ロシアを見てみますと先に説明したように、ソ連が崩壊したとき、ユダヤ系資本家(オリガルヒ)に、ロシアのエネルギー利権が奪われそうになったことがあります。実はソ連崩壊後の最初の大統領、エリツィンは、オリガルヒからの支持を受けて誕生した大統領だったのです。
当然エリツィンは、オリガルヒと深い繋がりがありました。オリガルヒは、ロシア最大のエネルギー産業会社の株40%を、アメリカのメジャー会社に売却することを進めていたのです。
ロシアはアメリカを超える世界第一位のエネルギー大国です。ロシアの巨大なエネルギー利権が手に入るためにオリガルヒはエリツィンを利用していました。
しかしプーチンがロシアの新大統領に就任したとき、「どうして我が国の大切な資源を他国に渡さなくてはならないのか」ということで、断固これを拒否し、再びエネルギー産業を国有化しました。
これでロシアの巨大なエネルギー利権がオリガルヒに入らなくなったのです。グローバル資本全体主義者たちがプーチンを失脚させる考えを本格的に企て始めたのは、この頃からになります。なぜならプーチンがロシアの実権を握っている限り、ロシアの巨大な利権がいつまでたっても手に入れられないからです。
そこでグローバル資本全体主義者は、プーチンを失脚させ、エリツィンのような親欧米派の大統領を再び誕生させ、ロシアの巨大なエネルギー利権を手に入れようと企てることとなります。この企ての延長上にウクライナ紛争が起きたわけです。
これまでの背景をまとめると、プーチンはアメリカやヨーロッパと戦い、世界の覇権を握ろうとしていたわけではなく、ロシアを護ろうとしていただけだったのです。つまりプーチンはナショナリストだったわけです。
ナショナリストとは、トランプが新大統領に就任したとき、「アメリカファースト」と語っていました。これは大半のマスコミが主張するように「祖国の発展を第一にする」という考えですが、実はもっと大切な別の意味が込められています。
それはかつてのアメリカが長年行ってきた、「他国への行き過ぎた干渉を止める」という意味が込められているのです。つまりアメリカは、過去の歴史で行き過ぎた干渉を行ったことにより、他国の主権を侵害し、権益・利益を横取りする結果となりました。トランプは「アメリカは金輪際、他国への行き過ぎた干渉を止める。
各国が自分の判断で行動し、自由に発展してください」という本音が「アメリカファースト」という言葉に込められていたのです。
このトランプの考えは、まさにプーチンの考えと一致するわけです。つまりロシアや日本の立場から見れば、トランプは、「『ロシアファースト』『日本ファースト』でやりなさい」と宣言していたのです。
またグローバル資本全体主義者がプーチンを嫌う理由として、長年、ロシアの最高権力を握っていたプーチンへの嫉妬があったと考えています。2012年から2016年の4年間、大統領はプーチンからメドベージェフへ委任しましたが、実質的にはプーチンがロシアの巨大な権力を握っており、メドベージェフはプーチンの傀儡政権だったわけです。
ロシアでは憲法上、3期連続して大統領になれないため、一時期、メドベージェフが大統領に就任しましたが、2017年から再びプーチンが圧倒的な支持を獲得して大統領に再選しました。すなわち、メドベージェフの傀儡政権時代も含め、プーチンは20年以上、ロシアで最も強い影響力を保持していたわけです。
ただプーチンがこれほどの影響力を持てる理由は、プーチンが習近平のように国を独裁して国民を押さえつけているからではなく、プーチンは選挙で国民から圧倒的な支持を得て、大統領に選ばれているからです。
プーチンがロシア国民から圧倒的な支持を得ている理由
ではなぜ、プーチンは、ロシア国民から圧倒的な支持を得ているのでしょうか。ソ連が崩壊してロシアに変わった当時、ロシア経済は崩壊状態で国家破綻寸前でした。そのロシア経済を奇跡的に立て直したのがプーチンだったからです。そのプーチンの功績をロシア国民はよく知っています。
だからこそ、プーチンは驚異的な支持率を保ってきたわけです。そのようなプーチンに対し、欧米首脳やグローバル資本全体主義者が嫉妬しないわけはありません。さらにグローバル資本全体主義者たちにはこの嫉妬に加え、ロシアにプーチンという悪者がいるため、巨大なエネルギー利権を手にすることができないという憤りもありました。
そこでグローバル資本全体主義者は、実に20年という歳月をかけ、あの手この手を使って、ロシアがウクライナに侵攻せざるを得ない状況を作ったと私は考えています。
ロシア・ウクライナ紛争が始まった当初、バイデン大統領は「これは民主主義対専制独裁国家との戦いだ」と主張していました。しかし今、起きているロシア・ウクライナ紛争は、「民主主義対専制独裁主義」ではありません。
なぜならプーチンは欧米諸国と協調して国を運営したいと考えており、アメリカと覇権を争い、戦うことを微塵も思っていないからです。この点は習近平とまったく異なります。
習近平が世界支配を考えていることは、皆様もご存じでしょう。しかしプーチンが世界の覇権を握ろうとしていないことは、トランプ大統領が就任していたときのプーチンの行動や発言を観れば明らかです。本当にプーチンが世界の覇権を握ろうと考えていたら、トランプ大統領時代にもアメリカを敵視していたはずですが、明らかにプーチンとトランプは協調していたわけです。
グローバル資本全体主義とナショナリズムの戦いが今、起きている
では今、世界で一体、何が起きているのでしょうか。それはバイデン大統領が主張したような、「民主主義対専制独裁国家の対決」ではなく、「グローバル資本全体主義対ナショナリズムの戦い」が、ウクライナ・ロシア紛争という形をとって、代理戦争が起きているということになります。
トランプ前大統領は、「アメリカファースト」を就任時に語っていましたが、同時にトランプは北朝鮮への制裁を強め、そして中国と本格的に戦うと同時に、アメリカ国内にいるグローバル資本全体主義とも対決しました。
トランプが戦っていた国内にいる敵とはまさにグローバル資本全体主義者のことですが、これ勢力と長年戦ってきたのがプーチンでもあります。つまりトランプとプーチンは、世間の目にはけっして現れることのない、共通の敵と激しい戦いをしていたのです。
そのため、トランプにはプーチンの考えていることがよく理解でき、それはプーチンも然りです。
プーチンがウクライナ侵攻を開始した理由がトランプにはよく理解できたからこそ、プーチンがウクライナに侵攻したとき、トランプはプーチンを批判するどころか、「プーチンは軍事の天才だ」と肯定的な発言をしたのです。つまりトランプには、プーチンがウクライナ侵攻を実行した真意が理解できていたことになります。
今回のウクライナ侵攻において、もし、ロシアの大統領がトランプだったら、プーチンと同じようにウクライナに侵攻していただろうと考えています。このように、ロシアによるウクライナ侵攻の背景には、グローバル資本全体主義者たちの陰謀があり、プーチンを失脚させるためにウクライナ国民が犠牲になっているというのが真相であります。
このようにグローバル資本全体主義者は、けっして民主主義的な考え方を持っているわけではありません。むしろ民主主義の中に巣くう闇の部分であり、自ら保有する資産や会社・組織の利益になるのであれば、国民はおろか祖国が衰退してもかまわないと考えています。
その考えの中にはキリスト教が唱えるところの神仏の視点はことさらありません。つまりグローバル資本全体主義とは、むしろ聖書の教えが痛烈に批判する、富を信奉するバアル信仰者たちであることに私たちは気づかなくてはなりません。
※注1 一般的には、軍産共同体、新自由主義、(ユダヤ系を中心とする)国際金融資本家を総称してグローバリズム、あるいはグローバリストと呼ばれていますが、本書では「グローバル資本全体主義」という言葉で表しています。
「グローバリズム」「国際金融資本家」「軍産共同体」などの言葉自体は中立であり、「グローバリズム=悪」ということにはならないと本書では位置づけています。例えば必ずしも「ユダヤ人=悪」「宗教=悪」とはならず、ユダヤ人の中には敬虔で伝統を守るユダヤ人もいれば、宗教においても「よい宗教」と「悪い宗教」があると考えるのが世界標準的な考えです。
これと同じように『「グローバリスト」「国際金融資本家」の全てが悪』にはならず、そのような論調が目立つがゆえに、本書では言葉を使い分けています。
☆画像引用元:ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/
☆音楽引用元:ニコニ・コモンズ
https://amachamusic.chagasi.com/




