NHK世論調査を考察
(2022年5月11日投稿)
解説
本日は、「岸田首相は、日本を7千発の核の脅威にさらそうとしている」というタイトルについて解説いたします。2022年4月上旬、NHKにおいて「ウクライナ情勢に対する世論調査」が行われました。この世論調査の結果、72パーセントが「岸田首相あるいは岸田政権の対応に評価する」という結果となりました。
岸田政権がロシアに対して行った制裁は、「金融制裁」「輸出輸入規制」「最恵国待遇の取り消しと撤回」「オリガルヒの資産凍結」となります。ちなみにオリガルヒとは、ロシアの財閥をいいます。
さらに岸田首相は、自衛隊をウクライナに派遣することを決め、さらに円借款を1億ドルから3億ドルへと大幅に増額することを決定しました。このような岸田首相のロシア制裁に対して、日本のなんと72パーセントが評価するという世論調査となったわけです。
しかしこの世論調査の結果は、日本にとっては正しい判断だと思うかもしれませんが、現実的には日本の国防にとって大変危険な判断をしていると考えるのが軍事上の定石といえます。
例えば戦争中の国に対して、他国が軍隊を派遣することは、戦争行為とみなされるのが世界の常識です。つまり日本がウクライナに対して円借款を行ったり、自衛隊を派遣することは、ロシアにとって明確な戦争行為となり、「日本はロシアに対して宣戦布告した」ことになります。
こうなるとロシアは国家存亡をかけて、自分の国を守るためにあらゆる手段を行うことになり、これは主権国としての当然の判断になります。
ではロシアは日本に対して、どのような行動を取ったでしょうか。先日、ロシア海軍が日本海で新型対潜ミサイルの発射演習を実施しました。以前に何度も説明したように、トランプ政権の時は、ロシアは敵ではありませんでした。
しかしバイデン政権になってから一転して、ロシアが明確に敵となりました。バイデン政権はウクライナ支援のために先日、4兆3千億ドルの巨大な追加支援を承認しました。つまり現在もなお、アメリカの兵器がウクライナに次々と提供されている状況になります。このアメリカの武器提供を止めない限り、戦争が長引く可能性さえ生じています。
しかしウクライナとロシアの紛争は、2月、ロシアがウクライナに侵攻した時点で既に勝敗は決まっています。なぜかといえばロシアの侵攻が始まった時点において、アメリカもEU諸国もウクライナへの直接的な軍事介入を行わない」とすでに決めていたからであります。そうなると、当然ウクライナ一国でロシアと戦うことになりま。。
ロシアの軍事力とウクライナの軍事力から考えれば、軍事費比較で10倍以上も開きがあり、ウクライナに到底勝つことはできません。はじめからロシアの勝利が決定していたわけです。
今、マスコミでは「ロシアが圧倒的不利」の報道が流れていますが、今もなお、ウクライナ東部はロシアに占領されたままの状態です。ロシアが2月にウクライナ東部を占領した地域は、一切、ウクライナ軍が奪還できていない状況なのは、マスコミが報道している占領地域のエリア地図をみれば明らかです。このような理由があり、はじめからロシアが勝つことが決まっていると断言しているわけです。
ただ日本にとって問題が起きるのがロシアが勝利してからになります。次に来るのは当然、極東軍事問題になります。日本には米軍基地が存在します。ロシアにとって大きな脅威になるのは、西側は欧米、そして東側の日米が同時に挟み撃ちして攻撃を仕掛けられることです。
多くの日本人の場合、「まさか、日本から戦争を仕掛けるなんてありえないよ」と思うことが普通の考えのようになっていますが、この考えは世界の考えからすればまるで非常識の考えです。世界の常識では、「主権国家とは、他国からの侵略の脅威に備える」というのがごく当たり前の考えです。その証拠として、国連憲章第51条において、個別的自衛権、すなわち各国の自衛権が固有の権利として認められていることからも明らかです。つまりロシアの立場からしてみれば、日本に米軍基地が存在することは、常にロシアが軍事的脅威にさらされていることになります。
それと日本の意向に関係なく、常にアメリカは過去の歴史において、何度も無謀ともいえる戦争を仕掛けてきたことは明らかになってきています。そのためロシアは、極東方面からの米軍による軍事攻撃に備えるため、ロシア領土の更なる軍事要塞化を急速に進めることは容易に予想されるわけです。
ロシアが北方領土の軍事要塞化を急速に進めるとどのような危険性があるかを具体的に説明すると、ロシアには現在、7千発の核を保有していると言われています。つまり、今後ロシアは、太平洋側の地域、いわゆる北方領土や樺太の領域に核戦力を集中させていくことも十分に考えられるわけです。
それから次の脅威として、反米勢力の中国・北朝鮮と連携し、ロシア・中国・北朝鮮3正面作戦で仕掛けてくる可能性が極めて高くなってい。この3国が敵対している状態で、もしロシアが北海道に攻めてきたらどうなるでしょうか。
北海道方面には自衛隊第2師団が存在していますが、この第2師団はわずか6千5百人のみの配備しかいません。そこにロシアがウクライナと同様、20万人規模で攻めてきたらどうなるでしょうか。当然、3日ももたないうちに占領されてしまうわけです。この問題に対しては日本がいくら防衛費を2倍にしたところで、ロシアにかなうレベルではありません。
それからさらに米軍が助けに来るかという問題もあります。日本には日米同盟がありますが、本当にアメリカは自国民の犠牲を払ってまで、日本を助けてくれるでしょうか。ロシアによるウクライナ侵攻では、ロシアの核報復を恐れて、アメリカ・EUは武器支援と義勇兵の覇権のみで、国として本格的に軍事介入を行いませんでした。
さらに日本のケースとなると、ロシアの核戦力7先発に加え、中国・北朝鮮の核保有国までが敵になります。欧米から見れば、軍事的な脅威はウクライナとの比ではありません。ロシアによるウクライナへの侵攻において、ロシアの核報復を恐れた欧米諸国が、今度はさらに中国・北朝鮮を含めた核保有国の3カ国を敵にして軍事支援を本当にするでしょうか。
つまり、欧米にとって日本を防衛することは、ロシアによるウクライナ侵攻以上の巨大なリスクを伴うわけです。当然、欧米派、中国・ロシア・北朝鮮による3カ国の核報復のリスクを恐れて、対日支援を行わない可能性が以前よりも高くなったということになります。
そうなると日本は、欧米の支援なしで、ロシア・中国・北朝鮮の3カ国と同時に戦わざるを得なくなるのです。この3正面作戦に対する国防上の危機を回避は、日本が国防費を4倍、5倍にしたところで不可能なことは明らかです。
では日本がこの危機を回避するにはどのようにすればよいのでしょうか。それは、日本が欧米追随でない、日本独自の外交を行う必要があります。今、世界を見渡してみますと、実は世界の85パーセントがロシア制裁に加担していない状況にあります。インド・ブラジルの大国はもちろん親米国のエジプト、そしてイスラエルまでもロシア制裁に加わっていません。このように日本も同じようにロシア制裁に加わらず、中立の立場を維持することが大事になります。
日本は欧米を妄信するのではなく、「自分の国は自分で守る」という気概がとても大切になります。もし日本がロシアと友好関係を築けば中国・北朝鮮は日本を攻め落とすことは極めて困難になります。
中には、「日本がロシアと友好関係を築けば、欧米が日本の敵になる」という意見を述べる人もいます。しかしこの考えは、やや極端な考えでもあります。例えばインドはどうでしょうか。インドはロシアから軍事兵器の8割を購入しています。さらにインドはウクライナ紛争以降、ロシアからのエネルギー資源の輸入をさらに増やしています。しかしインドは、欧米とも友好関係を築いています。つまり日本は、インドの外交をお手本にすればよいわけです。
日本においては戦後の自虐史観があり、「アメリカの言うとおりにすればよい」「そうすればアメリカが守ってくれる」という考えが深く染みついています。
しかしこれは世界標準の考えではありません。自分の国は自分で守るというのが主権国家としての常識的な考えなのです。
日本は親米でも親ロシアでもない、本当の親日としての考えを持つべきであると私は考えています。3正面作戦を避けるために、日本はロシアとの友好の道を残しておくべきであると考えています。




