「プーチンはスターリンを高く評価している」マスコミ報道の真意。ネオコン(新自由主義)の思想的源流は、レーニンの国際社会主義!? プーチンの真の狙いはネオコン(グローバル資本全体主義者)の一掃にあった!?
(2022年8月6日投稿)
※ 一般的には、軍産共同体、新自由主義、(ユダヤ系を中心とする)国際金融資本家を総称してグローバリズム、あるいはグローバリストと呼ばれていますが、本書では「グローバル資本全体主義」という言葉で表しています。「グローバリズム」「国際金融資本家」「軍産共同体」などの言葉自体は中立であり、「グローバリズム=悪」ということにはならないと本書では位置づけています。
例えば必ずしも「ユダヤ人=悪」「宗教=悪」とはならず、ユダヤ人の中には敬虔で伝統を守るユダヤ人もいれば、宗教においても「よい宗教」と「悪い宗教」があると考えるのが世界標準的な考えです。これと同じように『「グローバリスト」「国際金融資本家」の全てが悪』にはならず、そのような論調が目立つがゆえに、本書では言葉を使い分けています。
解説
ロシアで高まるスターリン待望論の報道
ロシアによるウクライナ侵攻以降、様々なメディアにおいて、「プーチンはスターリンと同じ残酷な独裁者だ!」「プーチンはまさに今、スターリン化している!」という報道を数多く見かけるようになりました。さらにロシア国民の間でも、スターリンを高く評価する運動が起きている報道も増えています。
例をあげると「歴史人」では、「プーチンが理想とする独裁者スターリンとはいかなる人物だったのか?」という見出しで、プーチンとスターリンの共通性を紹介していました。次に東京新聞では、「ロシアで高まる独裁者、スターリン人気」という見出しで、「ロシア国民の間でスターリン人気が高まっている」という記事が紹介されていました。
さらに週刊エコノミストにおいても、「プーチン、スターリンを支持するロシア国民。独裁者でなければ統治できない歴史的大国の構図」という見出しで、「プーチンとスターリンは一緒だ」「スターリンを支持するロシア国民が増えている」という内容の記事が紹介されていました。



確かに、欧米と日本においては、「プーチンは国際法違反を犯して、ウクライナを侵略している」「プーチンはスターリンとまったく同じだ!」という論調が常識となっています。またプーチンは、1917年11月7日のレーニン革命によるロシア革命記念日を廃止しました。
ロシアにとって最も記念すべき日をプーチンが廃止したことに対して、様々な専門家や報道機関は、「プーチンはレーニン主義を捨て、本格的なスターリン化を目指している」と言うような、二人を一括りにする報道を繰り返しています。
しかし、前節でも説明してきたとおり、プーチンがウクライナ侵攻を実行した本当の目的は、「ウクライナ東部で弾圧・虐殺されていたロシア系住民を救う」ことにありました。しかし欧米社会のメディアでは、このような正しい情報がほとんど報道されていません。
※参考動画)バイデンは、2つの世界大戦を同時にしようとしている!?プーチンは本当に侵略者?クリミア住民投票では90%以上がロシア編入に賛成だった!
レーニン、スターリン、プーチンはまったくタイプの異なる指導者
欧米と日本のメディアがロシア・ウクライナ情勢に対して、正しい状況を理解できない理由はもちろん、アメリカメディアを中心とした情報統制の影響がありますが、それとは別に他の理由もあります。
マスメディアを含めた大多数の人たちは、「ソ連とロシアは同質のもの」、それから「レーニンとスターリンとプーチンはすべて同質」と見ているのが現実であります。
しかし、レーニンとスターリン、そしてプーチンはまったく異なるわけであります。レーニンとスターリン、プーチンの違いをはっきりと言える人はどれだけいるでしょうか。ロシアとソ連がまったく異なるように、レーニンとスターリン、プーチンはまったく異なるわけです。
特にレーニンとスターリンがまったく違うことを理解することは、今の国際社会の構造と、今、世界で起きていることの真相を知る上で、大変重要になります(※3)。
ではレーニンとスターリンの違いとは、どのようなものでしょうか。レーニンとスターリンの人物像についてはネットや他の本で調べればいくらでも出てくるので詳しい説明は省きますが、結論から言えば、スターリンは「ナショナル社会主義者」、レーニンは「グローバル社会主義者」であったわけです。
では、スターリンが唱えていた「ナショナル社会主義」とはどのようなものでしょうか。ナショナル社会主義とは、「まずはソ連国内で社会主義国の確立を最優先させるべきだ。世界の社会主義化は、国内の社会主義化を盤石のものにしてからだ」という考えが、ナショナル社会主義の中心概念になります。
これに対し、レーニンのグローバル社会主義とはどのようなものかと言えば、世界の社会主義化を第一の目的、つまり社会主義革命を世界同時で起こすことを目的とした考えになります。ソ連時代、ナショナル社会主義を唱えるスターリンは、グローバル社会主義を唱えるレーニン思想の実質的後継者トロツキーと激しく対立しました。
トロツキーを中心としたグローバル社会主義の実現を最優先に考える人たちは、当時、「トロツキスト」と呼ばれていました。このトロツキストは、最終的にはスターリンとの権力闘争に敗れ、ソ連の政局を追われることとなりました。
また、ロシアが誕生したのは、レーニン率いる左派政党の一派、ボリシェヴィキの革命によるものです。ロシア革命とは左派政党ボリシェヴィキが起こした革命で、ボリシェヴィキ革命が成功し、1917年11月7日にロシアが誕生しました。
この日は、ロシアにとって記念すべき日ですが、前述したように、プーチンはこのロシア革命記念日を廃止してしまったのです。このように、レーニンによる革命記念日を廃止した行動から、専門家たちは「プーチンはスターリンを評価している」「レーニン主義を排除した。この行動こそがスターリン主義の証拠だ」と述べるようになったのです。
レーニン思想は、アメリカの新保守主義が継承したという歴史的真相
ではプーチンは、本当に「ロシアのスターリン化」を目指しているのでしょうか。実はレーニン思想の「世界同時革命思想」、すなわち「世界同時社会主義理論」はアメリカに渡り、1970年以降、いわゆる新保守主義(ネオコン)と呼ばれる人たちに引き継がれることになったのです。
これについては、すでにウィキペディアにおいて、公開情報として紹介されています。
参考)Wikipediaで公開されているネオコン(新自由主義)の起源

では新保守主義について、ウィキペディアでは、どのように掲載されているかを確認してみましょう。ウィキペディアに「新保守主義の歴史」という見出しの説明欄があり、この欄を読んでみると、「新保守主義の源流は、1930年代の『反スタ左翼』として活動した『トロツキスト』まで遡る」と記載されています。
つまり、新保守主義の発祥は、1930年代の「反スターリン運動」、つまりレーニン思想を引き継いだ「トロツキスト」になるわけです。要約すれば、「新保守主義の発祥はトロツキスト、すなわちレーニン思想にまで遡る」ということが陰謀説でもなく、公開情報として紹介されているわけです。
このようにアメリカにおける新保守主義の源流はトロツキスト、いわゆるレーニン思想による「世界同時革命」「世界社会主義国の実現」を目的とした運動にあったのです。新保守主義の中心概念は、グローバリズムとも言われることがあります。
グローバリズムを簡単に説明すると、「地球全体を一つの共同体とみなし、世界の一体化を進める」、つまり「世界の標準化を進める思想」でもあります。ただグローバリズムの中心概念である世界の一体化、一つの思想を広めるという概念自体、私は全てが間違っているとは思っていません。
例えば世界最大の人口を有するキリスト教徒も、キリスト教で世界を一つにしようと考えているわけであり、宗教にはもともとそのような考えがあるわけです。会社にも国を超えて世界企業(グローバル企業)となった会社は日本にもあります。
確かにアメリカのビックテックと呼ばれる、グローバル企業の行きすぎた情報統制には問題があると思います。だからといってグローバル企業の全てが悪いわけではありません。宗教にも良い宗教と悪い宗教があるようにグローバリズムにも良いものと悪いもとがあると考えています。
今、「グローバリズムに問題あり」と言われている理由は、他国の文化や伝統を、力による現状変更を行っている点にあります。力による現状変更とは、理想や目的のためなら手段を選ばないことを意味します。理想のためなら手段を選ばないという考えは、まさにマルクス思想の中心概念である暴力革命そのものになります。
ここでアメリカにおける新保守主義の正体が少しずつ見えてきました。新保守主義の思想的源流がトロツキストにあるということは、マルクスを信望したレーニン主義が根っこにあります。この根っことはまさしく前説で少し解説した、「唯物論を土台とした全体主義的資本家(グローバル資本全体主義者)」になります。
すなわち、スターリンはレーニン思想を引き継ぐトロツキストと戦い、そしてプーチンは、レーニン思想を源流とするアメリカの新保守主義者と戦っていることになります。すなわち、スターリンとプーチンは、レーニン思想を源流に持つ共通の敵対勢力と戦っていたことになるのです。
それからもう一つ大事なことは、1917年に起きた、ロシア革命の主導者の多くは、ユダヤ人でした。つまりロシア革命の実態は、「ユダヤ人による革命」とも言えます。スターリンは、国内のトロツキストたちを徹底的に粛清していきましたが、その粛清した人たちの中にユダヤ系の主導者が数多く含まれていたのです。
つまり、スターリンが当初、ソ連国内で行っていたことは、ユダヤ人に乗っ取られたソ連をロシア人の手に取り戻すことだったのです。結局、ソ連政権とはスターリンがユダヤ人の手からロシア人の手に少しずつ主導権を取り戻していった歴史でもあったわけです。
そして、今、プーチンを命がけで失脚させようとしている新保守主義者の背後には、グローバル資本全体主義者であるユダヤ人がいることは言うまでもありません。
ロシア国民のスターリン待望論の真意とは
最初に、今、ロシアで「スターリンに戻るべきだ」という国民的な運動が起きていることを紹介しましたが、この国民運動の真意は一体何なのかを言えば、これは、「本当にスターリン時代に戻りたい」とロシア国民が思っているわけではありません。ロシア国民の本音は、次のように述べたかったわけであります。
「プーチンにはスターリンのように強い指導者であってほしい。スターリンならその勢力と徹底的に戦うはずだ」
「プーチンは生ぬるいのではないか。スターリンのように強くあってほしい。ロシアを護ってほしい」
このことを主張したかったというのがロシア国民の本音だったのではないかと私は考えています。プーチンを一方的に悪者扱いする論調には必ず裏があります。
結論を言えば、欧米のグローバル資本全体主義者にとって、プーチンは最大の敵であるわけです。そしてこれまで説明してきたように、プーチンのロシア愛国主義は、グローバル資本全体主義者にとって大変好ましくありません。
プーチンを大統領の座から引きずり落としたいがために、世界中のメディアを使って反プーチン工作を実行し、プーチン失脚を企てていると言えます。
それからプーチンは、信仰の自由を最も大切な価値観とし、プーチン自らもロシア正教の熱心な信仰者です。これはスターリンとはまったくの真逆です。スターリンは、「マルクス主義」いわゆる「無神論」に傾倒していました。
確かにナショナリズム思想という観点で分類すると、プーチンとスターリンは同類になるでしょう。
しかしプーチンには篤い信仰心があり、スターリンには信仰心がありません。さらにスターリンは国民を弾圧して国を貧しくし、プーチンは国民を富まし、選挙で国民から圧倒的な支持を受けました。同じナショナリズム思想であっても、スターリンとプーチンはまったく異なるわけです。
それからロシア経済は、ソ連崩壊直後、深刻な経済不況の状態であり、国民は大変貧しく、まさに崩壊前夜でした。しかし大統領をエリツィンからプーチンに引き継いだ後、プーチンは破綻寸前だったロシア経済を奇跡的に立て直します。
プーチンは、前任のエリツィンとはまったく異なる経済政策で、ロシア経済を復活させた立役者です。ロシア国民はそのプーチンの功績を忘れていません。これらを考えると、ロシア国民は本気でスターリンの独裁体制に戻りたいと考えていないことはお分かりかと思います。そもそもソ連時代、スターリンによって2000万人の国民が粛清されたことは、ロシア国民が一番分かっています。
そのソ連時代に戻ることを、ロシア国民が本当に望んでいるでしょうか。これは少し考えれば分かることです。つまり、ロシア国民が求めているのは、スターリンのような残虐非道な指導者ではなく、強いリーダシップを持った指導者ということになるわけです。
私たちは、マスコミのフェイク報道に踊らされることなく、正しい目を持ってロシア・ウクライナ戦争を見ていく必要があると考えています。
※ 一般的には、軍産共同体、新自由主義、(ユダヤ系を中心とする)国際金融資本家を総称してグローバリズム、あるいはグローバリストと呼ばれていますが、本書では「グローバル資本全体主義」という言葉で表しています。「グローバリズム」「国際金融資本家」「軍産共同体」などの言葉自体は中立であり、「グローバリズム=悪」ということにはならないと本書では位置づけています。
例えば必ずしも「ユダヤ人=悪」「宗教=悪」とはならず、ユダヤ人の中には敬虔で伝統を守るユダヤ人もいれば、宗教においても「よい宗教」と「悪い宗教」があると考えるのが世界標準的な考えです。これと同じように『「グローバリスト」「国際金融資本家」の全てが悪』にはならず、そのような論調が目立つがゆえに、本書では言葉を使い分けています。




