EUの決戦兵器の供与はロシアが核報復の可能性を高めるだけ!?
(2023年3月17日投稿)
解説
ウクライナとロシアの紛争がはじまってから1年、経過しました。2023年の2月2日に米フォックスニュースで掲載された記事においてゼレンスキー大統領は、次の発表しています。
「もし、ウクライナが陥落すれば第3次世界大戦が始まるだろう。ウクライナに武器を送らなければ、大変なことが起きる。ウクライナを守ることは世界大戦を防ぐ正義の戦いだ」
ゼレンスキーは以前より同じような主張を常に繰り返し、日本をはじめ西欧諸国のマスコミの多くもゼレンスキーの言動に乗せられて、「ウクライナに武器を送らなければ、大変なことが起きる」という報道を耳にします。そのため、ヨーロッパ諸国の国民世論もゼレンスキー支援の方に動いているかに見えています。
しかしドイツのショルツ首相やイギリスのスナク首相はロシアに対して、主力戦車の提供は拒否していました。
なぜなら主力戦車までウクライナに提供してしまえばさらに戦争の硬直状態が長引いてしまい、自国の安全保障でなく、経済にまで悪影響が出てしまうことになるからです。特にドイツはそのような傾向が強かったと言えます。
しかし、ゼレンスキーの度重なる発言によって「ウクライナに武器を送り、支援しなければいけない」という世論が広まり、ショルツ首相は、ドイツの戦車を送ることを決定することになります。しかし、ドイツのショルツ首相の判断はさらに大変悪い方向へと向かっています。なぜなら次にゼレンスキーは、さらに要求レベルを引き上げてきたからです。一例をあげれば、ゼレンスキーは「戦闘機も供与せよ」と要求を強めてきたわけです。
そして、皆さんもご存知のとおり、日本の岸田首相も首都キエフへの訪問を半ば強制的に要請されることになります。ゼレンスキーは日本から8千キロメートルも離れた戦争地帯への更なる支援まで、岸田首相に求めてきたのです。なぜ、ヨーロッパ諸国や日本までもがこのような流れになったのでしょうか。これはなぜかといえば、「ウクライナを使って、代理戦争を進めたい」とというバイデン・アメリカ政権の思惑があるからにほかなりません。
実はヨーロッパ諸国の首脳たちも、バイデンの思惑には気づいており、本当はロシアと紛争を起こしたくないわけですが、ヨーロッパ諸国が表立って、アメリカ・バイデン政権に対して反対できないという事情があるわけです。
ではなぜ、ヨーロッパ諸国及び日本はバイデン政権思惑、およびゼレンスキーの口車に乗ってしまうのでしょうか。それには主に、3つの理由があります。この3つの理由をバイデンとゼレンスキーはうまく利用しているのです。
まず1つ目の理由は、西側諸国は20世紀からロシア(ソ連)に対しての恐怖心を持っていました。大なり小なり、今のヨーロッパ諸国の首脳や国民もロシア恐怖症の影響にあります。ゼレンスキー大統領は、ヨーロッパ国民の深層心理にあるロシア恐怖症をうまく利用しているわけであります。
2つ目として、「ロシアの侵攻をもし許せば、次はポーランドが狙われる」ことを、ゼレンスキーが主張しているわけです。3つ目は、これは主に日本に対してになりますが、「もし、ウクライナが陥落したら中国が火事場泥棒的に
台湾に侵攻することになる」とも述べています。
簡単に3つの理由をまとめると、一つ目は「ロシア恐怖症」、二つ目は「ポーランドなどのヨーロッパ諸国に侵攻される恐れ」、三つ目が「中国の台湾侵攻」になります。この3つの理由により、ヨーロッパ諸国や日本に援助を求めてきているわけであります。
しかしこの3つの理由とも冷静考えれば、ただの杞憂、つまり、はったりに過ぎないことがわかります。1つ目の「ロシア恐怖症」に対しては、実際ロシアは現在、世界の覇権を目指していません。むしろ、アメリカやヨーロッパと協調してやっていきたいと考えているわけであります。
覇権を考えていると言えば、これは中国になります。ロシアのプーチン大統領が世界の覇権を握ることを考えていないことは、これまでのロシアとヨーロッパの経済的交流を考えればもう明らかです。
2つ目の「ロシアの侵攻を許せば、次はポーランドが狙われる」ということに対しては、現時点でロシア軍が、ウクライナ全土を制圧しないことを見れば明らかです。すでに1年経過しても未だにロシア軍は、ウクライナ全土を
制圧しないわけです。これはプーチンがウクライナ侵攻を開始したときの演説でも表れています。
演説でも明らかなように今回のロシアのウクライナに対する特殊軍事作戦の目的は、ウクライナ東部のロシア系住民の弾圧から守るためであり、ウクライナ全土を侵略することではなかったからです。そのため回線から1年を経過しても東部から先への本格的な侵攻をしていないことからも明らかなことです。
それから3つ目の「ウクライナが陥落したら、中国が台湾に侵攻する」についても全く根拠がありません。そもそも中国は、「台湾統一」を50年以上前から国家的悲願として位置づけています。ロシアの勝敗に関係なく、侵攻する狙いがあることは明らかです。
今、ゼレンスキーはヨーロッパ諸国や日本の弱みにつけ込み、恐怖心を起こさせて巨額の支援を引き出そうとします。このゼレンスキーのやり方はいわば、「振り込め詐欺」と同じ手口と言えます。
このようにヨーロッパでは、これまでずっと控えてきた戦車を提供することを決定し、さらにゼレンスキーは、「戦闘機も供与せよ」と要求レベルを引き上げたわけです。西側諸国では、戦闘機とは「決戦兵器」と呼ばれ、いわゆる核戦力を除いた通常戦争における最終兵器となります。もしヨーロッパ諸国が戦闘機をウクライナに提供し、さらにロシアを追い込む動きをしていけば、今度はロシアが危機に追い込まれるようになります。
なぜなら、通常兵器レベルにおいては、ロシアとNATO(北大西洋条約機構)を比べるとロシアの方が劣ることになります。もしNATOが決戦兵器をロシアに対して使用してきた場合、ロシアは最終手段として、自国を守るために
核兵器を使用する可能性が極めて高くなることを意味します。
このように今、ウクライナではゼレンスキーの言葉によって、世界中が掻き回され、世界を危険な方向へ持っていくかの言動を繰り返しています。このようなゼレンスキーの悪魔的な『振り込め詐欺』に引っ掛からないことが大事であると私は考えています。
もし岸田首相が、ゼレンスキーと親しくするのであれば、日本を大変危うくすることになります。外交においては、わざわざ敵を作って日本国を危機にさらす必要はないです。もし今のまま日本が、ロシアと敵対することになれば、
ロシア・中国・北朝鮮という3大核保有国を同時に相手にしなければならなくなります。この3カ国を同時に敵にして日本に勝てる見込みは、全くないわけです。
日本政府および日本国民は「ロシア・中国・北朝鮮という3大核保有国を同時に敵にしてはならない。敵にしたら勝てる見込みは一切ない」という現実と向き合う必要があります。そしてこの現実を考えてウクライナとの交渉をどのようにするべきかを真剣に考え、実行に移すべきなのではないでしょうか。
いつまでもゼレンスキーの振り込め詐欺にヨーロッパや日本が引っ掛かっていては、世界を危機的な方向へと導くことになります。このことを明確に認識する必要があると考えています。
ありがとうございました





