超大国と言えるのはアメリカと〇〇〇のみ!?
(2022年12月7日投稿)
解説
「中国は、アメリカと並ぶ超大国って本当? 中国が超大国ではない理由とは!?」について解説します。近年、「中国が超大国となった」「中国はアメリカと並ぶ超大国である」という報道をよく見かけるようになりました。
まず、第二次世界大戦前の大国を見てみますと、5大国が有名です。5大国とはアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、日本になります。
そして第二次世界大戦戦後、現代における大国と呼ばれる国はどこかといえば、まず「国連の常任理事国の5カ国」があげられます。この5カ国とは、アメリカ、イギリス、フランス、ソ連(今のロシア)、中国になります。ちなみにこの5カ国は第二次世界大戦の戦勝国でもあります。
また、wikipediaに掲載されている大国の条件を読んでみると、「大国とは、ある分野において国際的に大きな力を持つ国のこと」と定義づけられています。そして現在における主要な大国は、国連常任理事国の5カ国に加え、ドイツと日本を加えた7カ国と定義づけています。
日本とドイツは国連の常任理事国ではないにも関わらず、「大国」と定義づけられる理由には経済力があげられるでしょう。日本のGDPは世界第3位、ドイツは第4位となっており、日本とドイツのGDPは常任理事国のイギリス、フランス、ロシアよりも上位となっています。
このように、現在における大国とは、一般的に常任理事国と日本、ドイツを加えた7カ国と言われています。また近年、GDPが世界第5位となったインドは核兵器を保有し、経済力に加え、軍事力・政治力も増しています。近い将来インドが、第8番目の大国に入ってくるとも言われています。
では「超大国」とは、どのような定義づけがなされているでしょうか。wikipediaでは「世界規模で、支配的な地位を持つ国家。経済力、軍事力、技術力、政治力、文化力、外交力などあらゆる面で傑出した力を持つ国」と定義されています。この定義に当てはめれば、第二次世界大戦前の超大国は間違いなくイギリスになります。
イギリスは、政治力、軍事力、経済力もありながら世界の約1/4の植民地を保有しており、まさしく超大国の定義に該当します。そして第二次世界大戦後では、冷戦でよく知られているとおり、アメリカとソ連になります。それからソ連が崩壊した後の超大国はアメリカ一国のみとなりました。
しかし近年、超大国はアメリカ一国だけではなく、中国も超大国であると言われるようになりました。しかし結論から言えば中国は確かに大国に違いありませんが、超大国ではないと考えています。そもそも超大国の条件とは、先ほどのwikipediaの定義のとおり、軍事力、政治力の他、経済力、技術力においても傑出した力が必要なわけです。
まず中国の技術力においては、コピー品や模造品が多く、世界に混乱を起こしています。それから中国の経済成長率が本当に正しいかどうかいうのもありますが、形式的には世界第2位の経済力となっています。しかし中国が成長したモデルとは、世界の下請け工場としての立場をつくったことです。つまり日本やアメリカ、ヨーロッパの下請けとして成長したわけですが、今、中国から世界の企業が撤退しています。中国は、模造品や下請けで成長したため、オリジナルの産業が育っていないという大きな課題を抱えています。
wikipediaにおける超大国の条件は、傑出した技術力を持っていることとなっていますが、中国には傑出した技術力や産業力を備えていない状況にあります。それから中国は近年、食料輸出国から食料輸入国に転落しました。
さらに2021年には、バッタや水害による被害で食料不足がさらに深刻化しました。ここで、大国における食料自給率を見てみますとアメリカとロシアは130%、フランス125%、イギリス65%、そして日本はかなり低く38%です。かつて超大国と呼ばれた国は、食料においても自国で100%自給できたわけですが、中国は現在、食料輸入国となっています。
それから中国はエネルギー輸入国でもあります。エネルギーにおいても中国は深刻なエネルギー不足を抱えています。当然、これまでの超大国は、強大な政治力、軍事力に加え、食料、エネルギー資源が豊富であり、100%、自国で自給自足できたわけです。つまり自国で自給自足できることこそが戦争に強い理由の一つでもあります。
第二次世界大戦前の日本は、大半の資源を輸入に依存していたため、ABCD包囲網によって鉱物、石油などのエネルギー資源の輸入を止められ、戦争を起こさざるを得なくなりました。これを踏まえると、かつての日本はけっして超大国ではなかったわけです。日本は確かに世界の五大国ではありましたが、エネルギーや資源の輸入を止められたら、日本の産業が止まってしまうのです。
そもそも超大国とはエネルギーと食料を自給自足できるため、他国から厳しい経済制裁を受けても、その影響が極めて少ないと言えます。
今、ロシアは、エネルギーと食料の輸出大国であり、エネルギー・食料の両方を自給自足できます。特にエネルギーをロシアからの輸入に頼っていた日本やヨーロッパ諸国が、エネルギーを自給できるロシアに経済制裁をするのは、愚の骨頂ともいえる制裁でありました。
そのため、日本・ヨーロッパだけではなく、アメリカまでも急激な物価高で大きな経済的なダメージを被ることになりました。しかしロシアの経済的なダメージは極めて少ないものになっています(2023年12月時点でロシア経済は、むしろ上昇している)。
このように超大国の条件とは、政治力、軍事力に加え、食料、エネルギーを一国で賄えるだけの自給力が備わっている国になります。現在、強大な政治力、軍事力を持ち、同時に食料とエネルギーを100%、自国でまかなえる国はアメリカとロシアしかありません。当然ながら中国は該当しないことになります。
今、アメリカは、かつてのイギリスや最盛期のアメリカほどの力はありませんが、現時点で超大国の定義に当てはまるのは、アメリカとロシアの2カ国のみとなります。もちろん、ロシアの経済力はイギリスやフランスより下であり、本当に超大国かどうかという意見も出てくるでしょう。
しかし経済力、軍事力、技術力、政治力、文化力、外交力の他、私は「国の指導者の力」の要素も超大国の条件として加えるべきと考えています。
例えば、アメリカのオバマ政権時代、イスラム国によるテロの解決には言葉だけ発して、現実的な解決は何一つできなかったわけです。この中東問題の解決に最も貢献したのがプーチンであり、ほとんどプーチンが中東問題に対して主導して、解決を図っていました。そのためアメリカのメンツがすっかり潰されてしまったという声もあがったことは、多くの人もご存知でしょう。
そしてプーチンは大統領として3期目であり、支持率はいまだに70%以上を保持しています。このように、プーチンの政治力も加えた上でロシアは超大国であると私は考えています。もちろん様々な意見があるでしょうが、例えば今、アメリカのDS(ディープステート)の問題が取り沙汰されるようになりましたが、その勢力が今、最も警戒している「人物」「国」はどこかを考えれば、ロシアの位置づけがもうお分かりになると思います。
このように中国は、もはや超大国の定義に程遠い存在であることをご理解いただければ幸いです。




