(2024年4月8日投稿)

解説

トランプ外交とは正反対のバイデン大統領

2024年 1月13日、台湾総統選において、台湾独立派の民進党、頼清徳氏が新総統に当選しました。これを受け、アメリカのバイデン大統領は次のように述べています。

バイデン「我々は台湾独立を支持しない

このバイデン大統領の発言は、トランプ前大統領とはまさに反対の立場です。2016年、トランプがアメリカ新大統領に当選した直後、トランプは大統領就任式を前に、イギリスのメイ首相、そして台湾の蔡英文総統と電話対談を行いました。

アメリカが大統領の就任式前に外国の首脳と外交交渉を行うのは極めて異例なことでもありますが、トランプがそこまでして、最優先した外交交渉がイギリス、台湾との電話首脳会談だったのです。

なぜトランプは、イギリスと台湾との電話首脳会談を急いだかについては、もうお気づきの人もいると思いますが、イギリスの元領土であった香港、そして台湾の共通点を探ると、まさしく中国問題であったのです。

つまり、トランプ新大統領が描いた最優先の外交戦略が中国封じにありました。このトランプの姿勢を見るだけでも、いかにトランプが、台湾の存在を重要視していたことがお分かりいただけると思います。

1つの中国を主張し続ける中国共産党

これまで中国は台湾に対して、「1つの中国」「正当性を持った中国の国家は一つしか存在しない」と主張し続けてきました。つまりこれは、「台湾は中華人民共和国の一部である」ことを述べていることになります。

さらに中国は、世界の国々に対して、「台湾は中国の領土である。台湾問題は内政問題であるから他の国が口を出すのは内政問題だ。台湾問題に口を出すものはけっして許さない」と主張し続けています。

そして国際社会で台湾、つまり「中華民国」を国家として認めている国は、現在、わずか13カ国のみとなっています。しかもその13カ国の中にはアメリカ、イギリス、日本などの大国は含まれてなく、小国ばかりです。実に世界の200近い国のほとんどが「中華人民共和国」の方を正当な中国として国家承認しており、さらに台湾との外交関係を持っていない状況にあります。

台湾が、中国共産党の支配下にあったという歴史はない

そもそも台湾は歴史上、本当に中華人民共和国の支配下に置かれたことがあったのでしょうか。結論から言えば、「台湾が中華人民共和国の支配下にあったという歴史的事実はない」というのが真実です。

かつての大東亜戦争、または第二次世界大戦とも呼ばれていますが、この世界大戦時の台湾は日本領であり、台湾の人たちは皆、日本人であったのです。もちろん日本人であったという証拠はたくさんあります。

一例をあげれば、特攻隊の中には台湾人もいて、その台湾の人たちは日本人名を名乗っていました。日本人として第二次大戦に参加し、敵艦に突っ込んで、日本の靖国神社に祀られている人もいます。台湾には日本人として戦った人が数多くいたわけです。

やがて、日本は世界大戦で敗れて台湾の権利を放棄しました。その時の中国は、蒋介石が率いる「中華民国」であり、毛沢東が率いる「中華人民共和国」ではなかったのです。ここが、「台湾は中国(中華人民共和国)の一部である」という主張が歴史認識として間違っている重要な証拠になります。

日本の敗戦時、中華人民共和国は存在していなかった

そもそも日本の敗戦時、「中華人民共和国」は存在していなかったわけであり、このとき中国の主権を掌握していたのは、「中華民国」であったのです。すなわち、日本から独立したのは「中華民国」であったことになります。

では「中華人民共和国」は、いつ誕生したのでしょうか。日本が敗戦を受け入れたポツダム宣言は1945年になります。それから4年後の1949年に、毛沢東が率いる「中華人民共和国」が中国本土のメインランドを分捕り、 蒋介石はメインランドを奪われることになります。

さらに毛沢東率いる「中華人民共和国」は、「中華民国」だけではなく、チベット、ウイグル、モンゴルまでも奪い取ります。メインランドを奪われた蒋介石率いる中華民国は台湾に逃亡し、台湾の都市、台北への遷都を強いられることになります。

台湾は中華人民共和国ではなく、日本から独立した

このような 歴史的背景を見る限り、台湾は戦前からずっと日本領、日本人であり、中華人民共和国の支配を受けたことは 歴史上、一度もなかったわけです。これを踏まえると、台湾は、「中華人民共和国」から独立したのではなく、「日本」から独立したというのが正しい歴史認識となります。

200カ国近くの世界の国々は、当然ながら、このような台湾の歴史を詳しく知りません。台湾の歴史を正しく知っているのは、台湾を日本領として治めていた日本になります。

日本政府は、中国に「台湾は中国の領土だ。口出しすることは内政干渉だ」と脅しをかけられたら、「中国よ、あなたの歴史認識の方が間違っていますよ」と日本は主張すべき立場にあるわけです。

台湾を独立国家と世界に認めさせ、日台友好条約を結ぶ秘策とは

もし中国が、「台湾は正式に独立していない」と主張し続けるのであれば、台湾の総統が日本の首相と直接会って、正式に日本から独立する文章を交換し、その後、台湾と日本で友好条約を結べば、自動的に台湾は独立国家 になります。国と国との正式な条約を交わせば、世界200カ国 も台湾独立を認めることになるでしょう。

中華人民共和国は、中華民国だけでなく、チベット、ウイグル、モンゴルまで分捕ってしまいました。もし「台湾を1つの中国として認める」ことになれば、チベット、ウイグル、モンゴルの支配までも正式に認めてしまうことになります。

確かにウイグル、チベット、モンゴルは、中国が「元」の時代に支配していたという歴史があります。
もっと言えば、「元」の支配は朝鮮半島やヨーロッパ、中東の一部にまで及んでいました。中国の理論を押し通したら、次はさらにエスカレートして、「朝鮮半島は、かつて中国が支配していたから中国のものだ」「ヨーロッパの一部は中国のものだ」「中東の一部はも中国のものだ」ということまで正当化されてしまうわけです。歴史を深く遡って領土主張をするにはさすがに常識ラインがあるわけです。

国際法的に照らせば、第2次世界大戦直前に「台湾をどこの国が領土として納めていたか」が、重要になります。歴史的事実を踏まえれば、台湾は明らかに日本領であり、台湾は日本から独立し、中華人民共和国の支配下にあったことは一度もないということがお分かりいただけたかと思います。

第二次世界大戦後、台湾に対する日本の扱いは、極めて冷たすぎる対応を取ってきました。しかし日本と台湾は中華人民共和国と違い、自由・民主・信仰の価値観を共有することができます。日本は台湾を重要なパートナーとして迎え入れ、台湾、そして香港の人たちを勇気を持って護ってほしいと考えています。